DEXCS for OpenFOAM(R) は、OpenFOAMと、これをより簡単・高度に活用できるようにする為の様々なツールをすべてインストール済のオール・イン・ワンパッケージで、誰でも(と言ってもCAEに無縁の人は対象外ですが・・・)簡単・即使えるようにしたマシンイメージ(isoファイル)です。
ダウンロードはこちら(分割ダウンロード方式)から(2025/10/24〜)
今回の更新は、TreeFoamのSHM(snappyHexMesh)ツールを使えるようになったこととと、それに伴ってマルチリージョンメッシュ作成も容易になったので、CHT(Conjugated Heat Transfer)マルチリージョンのチュートリアルケースも同梱したことである。本リリース時点では用意できていないが、「はじめてのDEXCS(snappyHexMesh編)」と、「DEXCS-CHTマルチリージョン」のYouTube動画も以下公開した。
またDEXCS2024における同梱資料を解説書「はじめてのDEXCS for OpenFOAM」の内容とほぼ同一になるよう構成したのと同様、DEXCS2025における同梱資料も、最新刊「DEXCS2024 for OpenFOAMのトリセツ」の内容とほぼ同一になるよう構成した。
最新解説書はDEXCS2024のコンテンツにで説明したものになっているが、解説書中のコンテンツを同梱のDEXCS2025のコンテンツで凡そ読み替えて解釈できるよう構成してあるので、同梱のハンズオン資料だけでわからない点は、解説書の説明で補完できるよう構成しているので、解説書も併せて参考にすれば理解を深めていただけるのではないか、ということである。
なお、最新解説書中のDEXCS2024コンテンツは、DEXCS2024の初期(2024年10月)リリース版でなく、2025年5月にリリースしたものを使っており、これには「はじめてのDEXCS(snappyHexMesh編)」と、「DEXCS-CHTマルチリージョン」のプロトタイプ版を使った説明も含まれる点、付け加えておく。
DEXCS2025における主要更新
- ベースOSはubuntu-24.04.2 (LTS)
- OpenFOAMやその他の組み込みツールのヴァージョンアップに対応
- OpenFOAM-v2506(パッケージインストール版)
- ParaView-6.0.0-RC3(バイナリー版)
- OpenFOAM 13 のバイナリ版と付属のparaview-5.11.2を同梱
- DEXCSワークベンチを諸々更新 v0.28
- TreeFoamのSHMツールを簡単起動
- デフォルトでOutput Path オプションを使わないようにした(デフォルトでは常時FreeCADモデルの在所にケースファイルを作成)⇒モデルをコピーした時の煩わしさが軽減される(と思う)
- HelyX-OFの同梱を廃止(TreeFoamのSHMツールで事足りるようになったので)
- SLURMはインストールしてあるが、うまく動作しない為、ドキュメントやスクリプトの同梱はしていない。
インストールと利用法
DEXCS for OpenFOAM はマシンイメージ(.iso)で配布されるので、DEXCS2021まではDVDにイメージ書き込みして、DVDから起動してそのまま利用することができました。しかし、DEXCS2025ではサイズが10.8GBとなっており、DVDには収納できないので、たとえばこちらの情報を参考にUSBメモリー にイメージ書き込んで下さい。こうすると既存の計算環境(とくにハードディスク)に何ら手を加えることなくDEXCSの機能を試すことができるので、本当のDEXCS初体験の人はこの方法、もしくはハードディスクに余裕スペース(50GB以上)が有る場合は、仮想マシンプレーヤー(VirtualBox や、VMPlayer)をインストールして、配布されたisoイメージファイルを仮想光学ディスクとして「まずは使ってみる」方法(ライブモード)がお薦めです。
- DEXCS2024以降、ネットワーク接続した状態でubuntuをインストールすると、カーネルのアップデートが不完全のまま再起動しようとして、マシンが正常に起動できなくなり、その補完作業(インストール方法の12〜16ページ)が必要になります。
- そこで、初心者や仮想環境で使用される人には、ネットワーク接続しないで、ubuntuインストール⇒DEXCSセットアップ作業を実行することを推奨。そうすれば、カーネルアップデート不具合も解消されるので、そこで一旦終了。ネットワークを接続して起動すれば、カーネルを含む諸々のアップデートは問題なく実行できるようになります。
- ライブモードのユーザー名は、DEXCS2021までは、自動的にcustom とされていましたが、DEXCS2025では、ubuntuです。パスワードは不要。
- インストールモードでは起動後のインストール機能により、HDD等に直接インストールできる上、使用するユーザー名を任意に設定することができます。
- ライブモードであれ、インストールモードであれ、デスクトップ画面上にsetupDEXCS.shというファイルが残っていたら、DEXCSセットアップがまだ終わっていません。これを右クリックメニューから、「Run as a program」を選択すると画面が暗転し、ログインし直すことでDEXCSセットアップが完了、setupDEXCS.shというファイルも消失しているはずです。
- DEXCSはLinuxシステムですが、基本的にシングルユーザー(インストールしたユーザー)での利用を想定してDEXCSセットアッププログラム(setupDEXCS.sh)が同梱されています。複数ユーザーによる利用も可能ですが、その場合にはもう少し別にユーザー個別のシステムカスタマイズが必要になります。
- VMWare Playerや、VirtualBox等の仮想環境で起動して、仮想環境を作成することも簡単です。
- VirtualBoxにインストールする方法(インストール方法の21〜33ページ)は、書籍「OpenFOAMによる熱移動と流れの数値解析(第2版)」の付録A、または「オープンCAEのためのDEXCS for OpenFOAM ハンドブック」の付録AにDEXCS2020について、書籍「はじめてのDEXCS for OpenFOAM」の第10章にDEXCS2023についてもう少し詳しく記されており、基本は同じです。
- 但し、書籍「はじめてのDEXCS for OpenFOAM」では、VirtualBox7.の初期バージョンを使い、isoイメージ選択を仮想マシン作成の最初のステップで設定していますが、最新のVirtualBox7ではこの段階で指定するとフリーズしてしまうので要注意です。
- 書籍「DEXCS2024 fr OpenFOAMのトリセツ」では、Kernel Panic で計算機が起動できなくなった場合の対処法についても、詳しい説明があります。
- DEXCS2021までは、VirtualBoxのGuestAdditionがインストールされていましたが、DEXCSが2022以降ではインストールされておらず、インストール時の画面サイズが固定化され、VirtuaBox6.xでは必要な操作ボタンが使えないという問題があります。 VirtualBox7.0ではサイズが大きいので問題ありません。
- 共有ファイルの設定方法もDEXCS2021以前と比べて大きく変更になっています。VirtualBoxとVMPlayer用には、専用スクリプトを同梱してあるので、これを使えば良いのですが、間違えると(VirtualBox上で、VMPlayerのスクリプトを使うなど)、たいへんなことになるので気をつけて下さい。
- また、このスクリプトはインストールモードでのみ有効です。(ライブモードでは共有ファイルを使えません)
- 国際化対応のレベルはDEXCS2015に同じ(英語版のみに対応)で、日本語⇆英語のベース環境切り替え方法は、DEXCS2021に比べやや簡単になっています。
- とはいえ、GUIツールでの切り替えは、今ひとつまだるっこしいので、コマンドライン入力による切り替え方法も記してあります。
- FreeCADのLinux版は、かつて様々なインストール方法があり、DEXCS2025においても通常のaptでインストールしたバージョン(0.2.2)がインストールされていますが、これは古くて使えませんい(というか、多分グラフィック関係の環境変数の問題と思われます)。
- FreeCADはバージョン1.0以降、正式ダウンロードサイトでLinux用にはAppImage版しかアナウンスされていません。
- DEXCS2025リリース時点では最新版(例:1.0.2)を入手可能。更新方法についても説明してあります。
- ParaViewと純正paraFoamとの違いから、純正paraFoamを使ってDEXCS十徳ナイフメニューの「blockMeshDictを表示」する方法とその際の注意点について記してあります。
- OpenFOAM 13 も同梱されているので、DEXCSランチャーやTreeFoamでこれをベースとして使うことも使用可能になっていますが、その為に必要な設定変更項目も記してあります。
同梱プログラム
- OpenFOAM-v2506(https://www.openfoam.com/news/main-news/openfoam-v2506)
- paraview-6.0.0-RC3 / 5.11.2 ( http://www.paraview.org/ )
- PyFoam-2023.7 ( https://pypi.org/project/PyFoam/)
- cfMesh-v1.1.2(http://www.c-fields.com/)
- Emacs 29.3(https://www.gnu.org/software/emacs/)
- gnuplot-6.0(http://www.gnuplot.info)
- FreeCAD-1.0.1(https://github.com/FreeCAD/FreeCAD-Bundle/releases/tag/weekly-builds)
- kdiff3-1.10.6(https://apps.kde.org/kdiff3/)
- TreeFoam_3.31-250809+dexcsSwak(https://opencae-dalab.org/pukiwiki/?SoftTreeFoam)
- JGP(https://java-gnuplot-gui.soft112.com/#google_vignette)
- VirtualBox Guest Additions-7.1.12
- 同梱してあるというだけで、インストールはユーザーが実施することになります
- DEXCSオリジナルツールとして
DEXCSランチャー(dexcs.py)国際化対応版⇒FreeCADのマクロボタン化しました。(DEXCS2021~)⇒FreeCADの凖ワークベンチ化しました(DEXCS2023〜)- DEXCS十徳ナイフ(dexcsSWAK.py)。これをTreeFoamのメニューから呼び出せるようにしました(pyDexcsSWAK.py)。
- cfMesh用簡単設定ツール(makeCfMeshSetting.FCMacro)(https://ocse2.com/?p=1851)
- 上記を改良し、メッシュ作成・確認まで出来るようにしました。
- DEXCSワークベンチ。FreeCADのワークベンチモジュールであるCfdOFをフレームワークにして、上記ツールのエンジン部分を使えるように移植することで、機能拡張が可能になりました。⇒製作メモ、GitHub
- CfdOFそのものも使えるようになっています。
- JAVA gnuplot GUIのプロジェクトファイルの適合ツール⇒DEXCS2021、DEXCS2022では搭載中止していましたが、DEXCS2023から復活
- ⇒ 替わって、FreeCADのPlotワークベンチ+DEXCSオリジナルマクロ(dexcsPlotTool_gui.py +dexcsPlotTable.py(3D物理シミュレーションで実践できる 多パラメータ最適化の新手法 Kindle版の著者WTさんの作です))
- ソースコード検索ツール(dexcsTextSearcher.py) ( https://ocse2.com/xoops/modules/wordpress/index.php?p=413 )
- 以下は、同梱してあるというだけで、今やほとんど使用する事のない化石のようなものです。
- snappyHexMeshDict簡易エディタ(snappyDictExporter.py)改良版 ( https://ocse2.com/?p=806)
- 境界条件名の一括変更ツール(bcFilesConverter.py) ( https://ocse2.com/xoops/modules/wordpress/index.php?p=348 )
- 時刻歴データのプロットツール(timeLinePlotter.py) ( https://ocse2.com/xoops/modules/wordpress/index.php?p=390 1DE
製作方法メモ
製作に着手したのが、2025年7月で、約3ヶ月を要したが、今回もできるだけ記録に残すようにした⇒製作方法メモ
ただ、主要アプリのインストールについては、DEXCS2024でやった方法と対象アプリのバージョンが異なるというだけで、ほとんど変更は無く、これだけであれば9月の時点でほぼ完成していた。リリースが10月後半まで遅くなったのは、動作確認を兼ねての同梱ドキュメントの更新作業に手間どったからであった。
