最新版のOpenFOAM(2.3.x)の標準チュートリアルの全ケースを実行した結果の中から、計算時間が前ヴァージョン(2.2.x)と大きく違ったケースについて検証した結果の第7弾です。
計算時間の内訳分析
これらのケースの計算時間について、ログファイルを分析(foamSolverSweep)すると、以下のようになりました。
これらの数字を眺めた限りの印象は、先に調べたpimpleFoam/elipsekkLOmegaとほぼ類似の傾向だったんですが・・・
計算結果が違う
本例の場合、そもそも結果がかなり異なっておりました。
ケースファイルの変化点
ケースファイルの変化点はたくさんあって、一番の違いは、fvOption でomega(回転角速度)の値が、1桁違っていました。
その他、porous体の通気抵抗の座標系書式も変わっています。
fvSolutionでもmaxIterの値が変更されており、計算速度には影響のありそうな項目です。
その他、境界条件の書式として、これまでbuoyantPressure というtypeがありましたが、これが廃止されたようです。
検証計算
これらもケースファイルを新旧入れ替えて、計算をやり直してみましたが、ヴァージョンによって書式が変更した部分は相応に手修正で反映しました。
- 2.2.x(w/23sys)—2.3.xのケースファイルを使って、2.2.xにて計算
- 2.3.x(w/22sys)—2.2.xのケースファイルを使って、2.3.xにて計算
2.2.x→2.3.x(w/22Sys) : 旧モデルケースを使うと、速度が遅くなって、2.2.x(w/23Sys)→2.3.x : 新モデルケースを使うと速度が速くなっています。
モデルケースが同一であれば、結果はほぼ同じです。
結論(わかったことと所感)
モデルパラメタを合わせれば、ほぼ同一の結果になることを確認できましたが、計算速度面では微妙でしたね。
旧モデルのパラメタをそのままチュートリアルとしたのでは、計算速度が遅くなったことがあからさまになってしまう。これではマズイってことで、計算速度が速くなるモデルパラメタに変更した・・・というのは考えすぎでしょうか。