最新版のOpenFOAM(2.3.x)の標準チュートリアルの全ケースを実行した結果の中から、計算時間が前ヴァージョン(2.2.x)と大きく違ったケースについて検証した結果の第4弾です。
計算結果は大体同じ
速度分布などの結果(下図)は大体同じですが、微妙な分布の違いは認められます。まぁ非定常計算なので、このくらいの違いはあっても・・・の感。
計算時間の内訳分析
これらのケースの計算時間について、ログファイルを分析(foamSolverSweep)すると、以下のようになりました。
計算ステップ数はあまり違わないのに、計算時間が大きく異なっています。その要因は圧力計算の回数が約1/4とかなり少なくなっていることが考えられます。ただ、この減少割合は、先に調べたsimpleFoam/pitzDaily,pitzDailyExptInletの例に比べて、それほどではありません。
ケースファイルの変化点
そこでケースファイルの変化点を調べてみるとfvSolutionに変化点がありましたが、ここではsimpleFoam/pitzDaily,pitzDailyExptInletの場合ほどにはドラスティックなものではなさそうです。
あと、もう1点。本ケースでは対称境界を使用しているのですが、その書式が変更になったようです。
検証計算
fvSolutionの変化は、先に調べたsimpleFoam/pitzDaily,pitzDailyExptInletの例に比べてさほどドラスティックではありませんでしたが、これらもケースファイルを新旧入れ替えて、計算をやり直してみました。
- 2.2.x(w/23sys)—2.3.xのケースファイルを使って、2.2.xにて計算
- 2.3.x(w/22sys)—2.2.xのケースファイルを使って、2.3.xにて計算
ただし、対称境界の書式についてはヴァージョン互換性がないので、この部分だけはヴァージョンに合わせて手修正しました。
結論(わかったことと所感)
計算時間についてはほぼ予想通りの結果となりましたが、計算結果については何とも微妙です。
つまり計算速度の差はsimpleFoam/pitzDaily,pitzDailyExptInletの例と同じで、ソルバーの性能が変化したからということではなく、ケースファイルの解法パラメタの設定(fvSolution)が変更されたからに他なりません。
ただ、追加で(ケースファイルを入れ替えて)計算した結果は、かなり異なっているようにも見受けられ、その違いをfvSolution,対称境界あるいはヴァージョンの違いでもってしても、何とも説明できません(たとえば中段の2つの結果を入れ替えてみればfvSolutionの違いと説明できそうですが・・・)。
これらの結果をあえて説明するなら、4つの結果は2つのパターンに分類できそうに見受けられてしまいますが、たまたまそう見えるだけで、4つとも微妙に異なっていると解釈すべき・・・なのかなぁ?