最新版のOpenFOAM(2.3.x)の標準チュートリアルの全ケースを実行した結果の中から、計算時間が前ヴァージョン(2.2.x)と大きく違ったケースについて検証した結果の第3弾です。
計算結果はほとんど同じ
速度分布などの結果(下図)はほとんど同じですが、定常解に達するまでのステップ数がわずかに異なっています。
計算時間の内訳分析
これらのケースの計算時間について、ログファイルを分析(foamSolverSweep)すると、以下のようになりました。
計算ステップ数はあまり違わないのに、計算時間が大きく異なっています。その要因は圧力計算の回数が大幅に少なくなっていることが考えられます。
ケースファイルの変化点
そこでケースファイルの変化点を調べてみると・・・案の定でした。fvSolution で、圧力方程式のsolverが、PCGからGAMGに変更されておりました。
検証計算
問題はGAMGは2.3.xで使えるようになったという代物ではないということです。ということは、2.2.xで、新しいケースファイルを使ってやれば【2.2.x(w/23sys)】、また逆に、2.3.xで古いケースファイルを使ってやれば【2.3.x(w/22sys)】、同等の結果になることが予想されるので、これらを追加計算してみました。
結論(わかったことと所感)
結果は予想した通りで、計算速度の差はソルバーの性能が変化したからということではなく、ケースファイルの解法パラメタの設定(fvSolution)が変更されたからに他なりません。
では、何故かような変更がなされたか? 今更の感はありますが、古くからのチュートリアルケースも地道に見直して、より実用的なパラメタセットに変更しているんだろうな・・・と好意的に解釈してあげたいものです。