dexcsPlus

DEXCS2022では、デスクトップのDEXCSフォルダ中に、新たに表題のフォルダが追加される予定である。これはDEXCSランチャーを使った簡単解析が、従来のDEXCSフォント周りの仮想風洞試験に加えて、様々な応用例に対して同様に実施できるように、解析用パラメタを組み込んだFreeCADモデルと簡単な使用法メモを収納したもので、全部で約20のモデルを収納予定している。 個々のモデルについては、別途解説ページを作成する予定であるが、ここでは全体の狙い・モデル選定の考え方、全体概要について記しておく。

 

狙い

DEXCSランチャーを使えば、チャチャッと流体解析できるという世界を目指しているが、これまで「DEXCSフォント周りの仮想風洞試験」を題材に、DEXCSランチャーの仕組みを理解してもらうというガイドラインで進めてきた。しかし、仮想風洞試験でない解析をしたい人間にとって、その為にDEXCSの仕組みをちゃんと理解してから使ってね!では、どうしても難しくなるというか、回り道になってしまう。

今時、マニュアルをちゃんと読んでからソフトを使う人などほとんど皆無で、使いながら覚える事ができるかどうかが問題であろう。そういう意味で、使える題材がもっとあった方が良いという意見を頂いた。dexcsPlusはこれに応えるコンテンツになることを目指している。

モデル選定の考え方

使える題材、事例集的なものがあれば良い、というのは簡単だが、具体的に実現するのは容易でないことも、ちょっとやり出せばすぐにわかることである。実際に、自分がこれまでに解析したもので、公開可能なものをいくつか候補にあげて。。。もやってみたが挫折した。

そこで、ここでもDEXCS的に、既に公開されているものをハックして使えばいいじゃないか!と発想を転換した。せっかくOpenFOAMには膨大な標準チュートリアルがあるので、これを使えば良いのではないか! ということである。

つまり、OpenFOAMの標準チュートリアルの中には、3次元のCADデータを使った解析例もたくさんあるので、これをDEXCSランチャーを使って解析できるようにしてやれば、かなりの分野をカバーできることになる。メッシュ以外の解析パラメタセットは標準チュートリアルのそれをそのまま代用すれば良いので手間も少なく済みそうである(というか、手間が少なくなるようDEXCSランチャーを改造した)。

モデルの全体概要

DEXCS2022 に搭載予定のOpenFOAM-v2206の標準チュートリアルは、全部で約430ケース存在し、そのうち3次元のCADデータを使った解析例が約40ケース(meshチュートリアルは除外)でほとんどsnappyHexMeshを使った解析例になるので、逆にsnappyHexMeshを使った解析例を抽出して調べた。その結果、これらのうち約半数はCADデータをFreeCADに取り込めば、DEXCSランチャーで簡単にセットアップして解析が可能となることがわかった。

以下に個々のケースにつき、DEXCSランチャーによる解析セットアップの手間の程度がわかるように色分けしておいた。

青字で記したケースは、DEXCSランチャーの標準ツールだけで解析のセットアップと実行が可能。薄青色は、加えて数行のコマンドライン入力が必要になるケースであり、これらのケースをDEXCS2022に収録することとした。

なお、赤色のケースは、形状が平易すぎたりして、cfMeshでメッシュ作成する意味のなさそうなもの。紫色はcfMeshによるメッシュ作成が困難であったり、ベースメッシュにグレーディングがかかっているなど、そのままではsnappyHexMeshの結果と同等の結果を得る事に困難が予想されたものである。

実行方法例

標準チュートリアルとしては、古くからあるheatTransfer/buoyantBoussinesqSimpleFoam/iglooWithFridgesを題材にしたケースについて、実行方法の全体的なフローイメージ図を以下に示しておく。

実行前は、図中左上に示すように、FreeCADのモデルファイルと、README.md(簡単手順書)、AllcleanDexcs(初期化用スクリプト)しか存在しない。README.md(簡単手順書)にしたがって、FreeCADのモデルファイルを開いて、解析コンテナをクリックしていけば、予め組み込んである標準パラメタによる計算が実行できるようになっている。一通り実行確認できたら、AllcleanDexcsを右クリック⇒スクリプト実行し、初期状態に戻して、今度はパラメタを変更してやり直すなりできるようになっている。

今後

収録予定の約20のモデルについては、およそ動作を確認できている。別途標準チュートリアルとしてそのまま実行した場合(sHM : snappyHexMesh)との比較作業を進めており、総じてsHMに比べて、メッシュ数が多くなり、計算時間は長くなっていたり、結果が微妙に異なるケースも存在していたが、詳細は今後本HPにて公開予定である。

個別説明ページの目次

DEXCS2022への収納方法について

一方、DEXCS2022のdexcsPlusとしては、基本的にdexcsCfdOFのコンテナ付きFreeCADモデル+アルファ(コマンドやDictファイル)と、簡単な使用法メモだを収録する予定で、計算結果まで収録する予定はしていないが、以下に記すようにいくつか決めかねている項目もあり、諸々ブラシアップ中である。

 

フォルダ名の問題

ケースファイル名だけに留めるか、ジャンルやソルバー名もわかるようにした方が良いのかどうか。現時点では、ケースファイル名だけで作ってみたが、さすがに20ケースにもなると、どこから手をつけたものか、悩ましい。

階層化するにしても、標準チュートリアルのようにジャンル別にするのが良いのか、DEXCSランチャーの操作性とか、計算時間で区分けする方法もありそうだ。

使用法メモ

現時点では、自分自身(上級者?)の為の備忘録メモとして残したものと、ある程度の初心者(?)にも理解できるようにしたメモが混在している。とはいえ、どの程度問題の知識レベルを前提に記述したら良いものか、フォーマットを含めて試行錯誤中である。

FreeCADモデルの見栄え

とりあえず、試行錯誤しながら作成したモデルで、製作途上でのパーツも、非表示にして残してある。残しておいてもあまり意味は無さそうなので、表示色も含めてブラシアップしたい。

さいごに

もう少しブラシアップの作業を経た後、正式公開の予定である。公開時期は、例年通り、9月後半から10月を予定している。それまでの間に、一般ユーザー目線で使い勝手等、ご意見頂ければとも思っている。使ってみたいという人がいれば、現在のプロトタイプ版をお渡しできるので、申し出て頂きたい。

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